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書名:もっと 脳の強化書2
著者:加藤俊徳
出版社:株式会社あさ出版
出版年:2015年1月15日
価格:1300円(税別)
50代を過ぎて成長ピークを迎える超前頭野
このように進化してきた私たちの脳には、「超脳野」と呼ばれる場所があります。
超脳野は「超前頭野」「超側頭野」「超頭頂野」の3つで、名前が示す通り、それぞれ頭の前方、側面、頭頂部に位置しています。そして、これらは脳の中でもとくに複雑な情報処理を担当している、”超エリート脳細胞集団” なのです。
ちなみに、超頭頂野は、動物の脳には存在しません。また、超前頭野、超側頭野は、他の動物にも備わっているものの、人間に比べると発達がかなり乏しいです。
超脳野には、もうひとつの特徴があります。
私は前著『脳の強化書』をはじめ、いろいろなところで「脳は死ぬまで成長し続ける」と主張してきましたが、この3つの「超脳野」は、どれも30代以降によく伸びることがわかっています。
記憶や理解に関係する超側頭野の成長ピークは30代。
五感で得た情報を分析・理解する超頭頂野の成長ピークは40代。
そして、実行力や判断力を司る超前頭野が成長するのは、50代を過ぎてからです。
とくに注目されているのが超前頭野です。
脳は、年をとると場所によっては萎縮してしまいます。ところが、超前頭野は、85歳以上の高齢者でも、元気な人にはあまり萎縮が見られないことがわかりました。それだけ大きな成長の可能性を秘めた部分なのです。
もっと 脳の強化書2 Chapter 1 (P.35~36)より引用
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率直な感想
前作『脳の強化書』が面白かったので続編として購入したが、前作と大きく異なる点が。
前作では書籍の大部分が各脳番地の脳トレで占められていたのに対し、本作では主軸が「欲求」である。
そのうち半分が「欲求」に関する解説であり、もう半分が「欲求」で脳を活性化させるためのトレーニングである。
そうすると面白くないのかな?というと決してそうでは無くて。
むしろ前作よりも脳に関する見分が広がるというか、前半での脳の「欲求」に関する解説が非常に面白かったと思う。
【目次】
はじめに
Chapter 1 あなたの脳を動かしているモノとは?
Chapter 2 自分の「欲求」、見失っていませんか?
Chapter 3 「やりたい!」「したい!」を暴走させない
Chapter 4 「欲求」を正しく育てよう
Chapter 5 欲求発見トレーニング
Chapter 6 コミュニケーション系欲求育成トレーニング
Chapter 7 感覚系欲求育成トレーニング
Chapter 8 感情系欲求育成トレーニング
Chapter 9 右脳・左脳交流トレーニング
おわりに
【著者】加藤俊徳 (かとう・としのり)
新潟県生まれ
医師、医学博士、株式会社「脳の学校」代表、加藤プラチナクリニック院長
14歳のときに、「脳を鍛える方法」を探そうと、医学部への進学を決意する。昭和大学大学院を卒業後、国立精神・神経センター(現・独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター)、米国ミネソタ大学放射線科MR研究センター、慶應義塾大学、東京大学などで脳の研究に従事。
脳画像の鑑定では屈指の読影技術を持ち、これまでに、胎児から超高齢者まで1万人以上の脳を分析した。脳の活性化を計測するfNIRS原理の発見、発達障害に伴う海馬回旋遅滞の発見など、研究分野は多方面にわたる。2006年、株式会社「脳の学校」を立ち上げ、企業の脳研究や人材育成事業をサポート。2013年、加藤プラチナクリニックを開設、MRI診断による脳の健康医療を実践。
著書に『アタマがみるみるシャープになる!! 脳の強化書』(あさ出版)、『脳を育てる親の話し方〜その一言が、子どもの将来を左右する〜』(共著、青春出版社)、『「認知症」は ” 脳 ” を鍛えてくいとめる!』(PHP研究所)などがある。
この本と出会った経緯
これはもう単純に、前作の続編だと思ったから。それに尽きる。
前作が面白かったのだから、入手しない手は無い。
私を釘付けにした言葉
欲求を持つことをやめれば、その瞬間から脳の老化現象が始まります。
だからこそ、やりすぎたと思うくらい欲求を強く意識するくらいのほうがいいのかもしれません。
年を重ねたときに、どうしても実現したい欲求が目の前に見えていれば、まだまだあなたの脳は元気だと考えていいのです。
もっと 脳の強化書2 Chapter 4 「欲求」を正しく育てよう(P.109)より引用
普通に生きていて自分の脳が衰えていくのを認識することは、せいぜい記憶力低下だとか、とっさに走ろうとして思うように走れないとか、それくらいだと思う。
ここでは、それ以外にも脳の衰えというか健康状態を把握できる術を提示されているので、純粋に嬉しく思う。
変化のない生活を送っていると、新しいことを始めるのがどうしても億劫になります。
また、そもそも何かを始めようという気持ちすら起きなくなります。
これは、脳にとっては危険な信号。
脳は常に新しい情報や経験を求めていますが、それらを獲得しなければ、成長はストップしてしまいます。そして、その獲得を実行する原動力こそが、欲求なのです。
その欲求が弱くなっているとすれば、新しい欲求を見つけ、育てなければいけません。
もっと 脳の強化書2 Chapter 5 欲求発見トレーニング(P.122)冒頭より引用
これも、生きていく上での良い目安。
年齢を重ねていくにつれ、「もう若くないんだから」だの「そんなことをしても意味ない」などと言われがちだが、その忠告に準じて「落ち着く」のは脳にとってはダメだということ。
私は少々おかしいので当てはまらないが、世のミドル〜シニア世代は結構、世間体を気にしがち。
同年代の友人に「ジェットコースターを乗りに行こう!」などと提案してもバカ呼ばわりされ一蹴されてしまうが、脳トレのためには良くないことが分かった。
なので私は乗りに行こうと思う。脳トレも兼ねて。
読めば読むほど見えてくる「新たな脳トレ」
本書では前作同様、本の中で提示してある脳トレは「完成形」ではありません。
それぞれのトレーニングに自己流のアレンジを加えることによって、初めて生きたものとなり、面白みが生まれるものだと著者の加藤俊徳先生は巻末で仰っている。
羞恥心から、なかなか実践するのは難しいこともあるけれど、ほどほどに色々とオリジナル脳トレを開発しながら生活していくのも面白いのではないだろうか?