「メタル脳 天才は残酷な音楽を好む」中野信子[著]を読んだ感想【生きづらさを感じている人向け】

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書名:メタル脳 天才は残酷な音楽を好む

著者:中野信子

出版社:株式会社KADOKAWA

出版年:2019年1月30日

価格:1389円(税別)

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はじめてメタルを聴いたあの日から、早いもので数十年が経ったわけですが、それでもわたしの脳には当時の感覚や痛ましいまでの衝撃が刻まれています。ただ激しいだけの音楽としてではなく、もっと切実で秘密めいたものとして、メタルの旋律はわたしの心に響いたのでした。

本書はメタルが好きな人はもちろんのこと、願わくば、まだメタルを聴いたことがない人にも興味深く読んでいただけるように心がけました。

そしてなによりも、いま生きづらさを感じている人の許にも届けられ、なんらかの共振作用を生み出すことができればこれに勝るよろこびはありません。

メタルの旋律が、かつてのわたしを救ったように。

メタル脳「はじめに」より引用

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率直な感想

ヘヴィメタルという音楽を好んで聴く人たちについて、自身も好んで聴いているという脳科学者が、自分を含めたメタラーの「メタルと脳」の関係を解き明かしていく内容。

私自身もなぜ子供の頃からメタルを聴くようになったのか?

メタラー以外の友達とは明らかに発想や考え方などが全く違うのは、メタルと何か関係があるのか?

ひょっとして私の脳は異常なのか?

そう常々思っていたので、それらの疑問を解消するために読んでみて、納得した内容も沢山あるし、いまいち腑に落ちない内容もいくつかあった。

ただそれはあくまで私個人の感想なので、もし他に私と同じように長年疑問に感じているメタラーがいたら、迷わずおすすめしたい一冊である。

メタル音楽が好きというだけで何故か迫害されがちな、この世の中で生きなければならない以上、メタル脳の第一人者による研究結果を注意深く読み、その確乎たる理由をちゃんと知っておくべきだと思った。

【目次】

はじめに

第1章 わたしを救ってくれたメタル

第2章 メタルが真の強い「個」を育む

第3章 モーツァルトよりメタリカを聴く

第4章 メタルは世界の欺瞞を見抜く

おわりに

【著者】中野信子 (なかの・のぶこ)

脳科学者、医学博士、認知科学者。東日本国際大学特任教授。1975年生まれ。東京大学工学部応用化学科卒業、同大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。08年から10年まで、フランス国立研究所ニューロスピン(高磁場MRI研究センター)に勤務。脳科学、認知科学の最先端の研究業績を一般向けにわかりやすく紹介することで定評がある。コメンテーターとしてテレビ番組に出演する傍ら、ベストセラーも多数。近著に『サイコパス』(文春新書)、『あの人の心を見抜く脳科学の言葉』(セブン&アイ出版)、『ヒトは「いじめ」をやめられない』(小学館新書)、『不倫』(文春新書)などがある。

この本と出会った経緯

中野信子 氏のことは本書を手にする以前から存じ上げていた。

私が長年ファンだった聖飢魔Ⅱというバンドを中野氏も好きだという点。

それだけで一目置いていたので、冒頭で書いた疑問もあった関係上、専門家の研究結果を読んでみたくなり購入した。

目の前の霧が段々と晴れていく感覚

第1章は共感しっぱなし。

あの感覚、そう思っていたのは私だけでは無かったんだなと、まるで自分の影武者がこっそり書いていた懐古録でも読んでいるかのような錯覚に包まれながら、一言一句噛み締めるように読んでいた。

第2章・第3章もメタラーあるあるというか、共感出来たり腑に落ちることが書いてある。

例えるなら第2章はメタラーについての解説、第3章はメタルを聴くことによって得られる効能。

第4章は他よりも少し難しくなっているかもしれないが、メタラーが既に身につけている能力についての仮説。

意外な言葉

メタルは子どもを守ってくれる音楽

たとえば、親が我が子を見たときに、「なんだか息苦しそうにしているな」と感じたり、「いろいろ融通が利かなそうだな」と思ったりしたときには、彼らが感じている疎外感覚を吸収するために、いわば「安全基地」としてメタルという世界を用意してあげることはひとつの方法になるかもしれません。少なくとも、選択肢のひとつとして持っておくのは、親にとって大きなアドバンテージになるでしょう。

メタル脳 第3章(P.111)より引用

これは多分メタラーあるあるかもしれないが、ヘヴィメタルを聴かない人にしてみたら衝撃的というか意外に思うのではないだろうか?

メタルという音楽は、生きづらさを感じている人が世の中を生き抜くのに必要な武器になりえると思う。

とかく、今の世の中は外向的な人が評価されやすい傾向にあるので、内向的で繊細な人は生きづらさを感じているのではないか?

それは子どもも同じな訳で。

外向的な両親の子供が必ずしも外向的な性格であるとは限らないのだから、親の目から見て自分とは違うなと感じたら、メタルを。という意見は私も同感である。

自然にメタルが目の前に現れてくれればいいけれど、正直なところ今の世の中で思春期の子供が自然にメタルに出会えるのか、可能性は低いと思う。

ましてや周りの大人がメタルを否定していたら、探してまでは聴かないと思うし、学校という閉鎖的な世界の中で浮いてるなと感じたり周りの人とは違うと認識していたら、何かの偶然でメタルに出会う以外に知る術はきっと無いだろう。

これは大事なことなので、子どもを持つ親御さんには是非とも覚えておいて欲しい。

正直なところ、本書に関しては部分引用はあまりしたくない。

何故なら、変に誤解を与えてしまいかねないから。

上記の引用にしても、私が意図したことが伝わらない大人はきっと沢山いるんじゃないかと思う。

なので、少々乱暴だが本記事を読んでしまった人たちは、もれなく全員、本書を読んでみて欲しい。

もうそれに尽きる。

本書はヘヴィメタルが脳にとってどれだけ良質か、余すところなく全力で説いている稀有な良書だと思う。

裏表紙側の帯に本書の要約が端的に記されていた

画像を撮影しようと思ったが、きれいに写せないので引用して紹介させていただきます。

成績がよい子は不安傾向が高いことが多く、勉強においても自分に対してネガティブなフィードバックをする傾向にあります。

この不安傾向の高さをメタルという音楽が埋めることで、パフォーマンスをより発揮できると推測できるのです。

周囲の環境にうまく馴染めない感覚は、ずっと抱いていました。

まわりから浮いているのを痛いほど感じながら、困惑とともに毎日を生きていたのです。

ただ、メタルを聴いているときだけは、自分の孤独感が癒やされていくような感じを得られました。

「別に孤立していても構わないのだ」

メタルは、そんな安心感をいつもわたしに与えてくれたのです。

メタルは、人類や人間の本質とはどういうものか、それについての「メタ認知」を与えてくれます。

欺瞞に満ちた社会に対して、暴力によらずに音楽の力で強烈な一撃をくらわすこと、それこそがメタルの存在意義なのです。

メタル脳 初版・帯の裏表紙側より引用
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