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書名:この世界は不完全すぎる
著者:佐藤真通
発行所:株式会社 講談社
出版年:2020年10月9日 ( 1巻 )、2021年1月8日(2巻)、2021年4月8日(3巻)、2021年7月8日(4巻)、2021年11月10日(5巻)、2022年3月9日(6巻)、2022年8月29日(7巻)、2022年10月28日(8巻)、2023年4月12日(9巻)
価格:726円
率直な感想
普通の冒険マンガでは無いところが良い。
日頃から細かい性格を暗に揶揄されている私にとっては、自分よりも遥かに細かい神経(というかそれが仕事なんだからしょうがないのだけれども)の主人公に好感を持ってしまう。
そういう点では無意識レベルで主人公を自分だと錯覚しながら読むことができる。
普段から妄想しがちな人にはオススメしたい逸品。
【 著者 】佐藤真通( さとう・まさみち)
1980年生まれ。神奈川県出身。著書に『アイアンバディ』(講談社・刊)『将棋指す獣(原作)』(新潮社・刊)がある。
GetNaviWeb 執筆者一覧より引用
この本と出会った経緯
マンガを読まなくなってから世に出回るマンガとの出会い方が分からなくなっていることにふと気付いて。
喫茶店でジャンプやマガジンを読んでも全話がほぼ途中からなのでつまらない。
ドラマの原作がマンガだと知ってもドラマのイメージを崩したくないので読まない。
そんな中で何気に読みたくなるマンガが今この世にどれだけ存在するのかを確かめたく、マンガの出版社のサイトなどいろんなネット媒体を徘徊。
表紙や作画が気に入るマンガが見つかると序盤を無料で読み、課金するか否かを判定。
とまあ、おおよそ一般的ではない出会い方を経て本作品に辿り着きました。
邪道ですかね、すみません。
面白いと話題沸騰!「 この世界は不完全すぎる 」その魅力
TVゲームやオンラインゲームをしていた人は特に楽しめるかも。
特にドラゴンクエストなどのRPGで、バグを求めて1コマ1コマ執拗に調査しながら時間を気にせず納得のいくまでやり込む人には是非オススメ。
本作品に共感できる人は往々にしてそんな人、多分ね。
デバッガーとは上記のようなことをもっと掘り下げて執拗に調べ上げて開発者に報告するお仕事。
私のようなちょっと頭のおかしいゲーマー(当時)の比ではないレベルのバグ調査をあらゆる角度から何回も丹念に調べ尽くす根気が無いと務まらないのだろうなと、読みながら都度思った。
ルールや仕様にも精通していないときっと大変だろうし、オンラインゲームに至ってはサービス更新が週刻みだったりもするのできっと大変なんだろうなとか、漫画を読み進めながら過去私が遊んでいた全てのゲームに思いを馳せ、デバッガー達の苦労を妄想し、感謝すらしたくなる謎の感覚にずっと陥るかも。
漫画とは関係なく。
少し前にデバッガーという職業を知り、一瞬でもやってみたくなった私であるが本作品の主人公・羽賀マコトみたいに賢くないので、あの時やらなくて良かったなと。
本当につくづく思う。
ゲームの専門用語も沢山でてくるし、アナログゲームのルール説明とか内容が盛りだくさんすぎるので、面白いなんてもんじゃない。
未完成ゲームのデバッグをめぐる異世界冒険ファンタジーというくくりなので、もう何でもアリ。
ただ個人的には残念なこともいくつか。
- 敵キャラ、特にボスキャラが全然強そうに見えない。
- 序盤のドラゴンは読む人(自分)の心が汚れていると、きっとアレに見える。
- 「ファイブスター物語のモーターヘッド」とか「バスタードのアンスラサクスや竜戦士、ルシファーやサタン」などのようなものを無意識レベルで期待していると絶望的に拍子抜けするかも。
- (注:アンスラサクスはエイリアンや邪聖剣ネクロマンサーなどでお馴染みの、故 H・R・ギーガー氏を彷彿とさせるデザインなので怖い系が苦手な人はむやみに検索しないこと)
でもそれ以外は人間描写もうまいし、目の姿かたちだけで十二分に的確な心理描写が出来ている作者の画力は秀逸。
アマノ君の心理描写が特に好き。
ハガの生真面目すぎる徹底した仕事ぶりはもはや職人だし、すごく好感が持てる。
擬人化された「 AI 」が秩序であり混沌。
色々な AI が席巻する未完成のゲームが舞台の本作品。
NPCとかメタAIとか、知らない専門用語がわんさか出でくるので、それをいちいち調べるのも楽しい。
そもそもメタAIとは何なのか?
ゲーム全体を観測し、ゲーム全体を変化させる人工知能のこと。
なので本作品のキャラクターで言うと、テスラやアルバがやっていることは全てメタAIとしての至極真っ当な役割であると言えよう。
でもアルバは途中から暴走してるし、ハガたちが飛ばされたレイドボスのいるダンジョンは管理すらされていないのでは?とも思えるけれども。
まあ未完成ゲームだからということで。
「 メタ AI 」はゲーム全体を観測し、ゲーム全体を変化させる人工知能である。
研究論文 「 メタ AI 」と「 AI Director 」の歴史的発展 三宅陽一郎、水野勇太、里井大輝 株式会社 スクウェア・エニックス p.1 1.「メタ AI」と「AI Director」形成の背景と歴史 冒頭より引用。
でも、せっかちな人はきっとイライラすると思うので、この漫画は絶対にオススメしない。
そうじゃない、根気よく物事を進められる人や、謎解きが好きな人向けだと思います。
メンタルがやられた人間の異常行動とか怖いけど面白いし、続きが本当に楽しみ。