【神様のことをより深く知りたい人向け】平藤喜久子[著]「日本の神様 解剖図鑑」を読んだ感想

平藤喜久子[著]「日本の神様 解剖図鑑」表紙

書名:日本の神様 解剖図鑑

著者:平藤喜久子

出版社:株式会社エクスナレッジ

出版年:2018年1月1日

価格:1600円(税別)

読みやすさ
 (4.5)
内容
 (4.5)
実用性
 (5)
値段
 (5)
オススメ度
 (5)
総合評価
 (4.5)

はじめに

日本には八百万の神々がいる、という言い方をする。八百万とは、数えられる数字のことはない。

とにかくたくさんの神々がいるという意味である。

本書は、「解剖図鑑」と題されているように、その神々の神話や姿、信仰のあり方をできる限り描き出し、解き明かそうとしている。神話には性別も不明であれば、どのような姿をしていたのかまったく描かれていない神も珍しくない。しかしそれをあえて描こうとすることで、今まで以上に深く神について考えることができると思う。

本書を手に取られ、中には「この神さまってこんな顔かなぁ」と疑問を抱く方もおられるだろう。その体験が、神さまについてより深く知ろうとするきっかけになればと願っている。

日本の神様 解剖図鑑 冒頭より引用

率直な感想

古事記を読んだり寺社参拝の旅先で初めて見る名前の神様がどんどん増えていく私にとっては、どこかで具体的なイラストなどで脳内を整理したいという欲求に駆られていたので、本書はたいへん役に立ったと思う。

実際、本書冒頭にもあるように参拝中に勝手に脳内でイメージする神様とは違うことがほとんどではある。

また逆に変な固定観念が植え付けられてしまう気もする。

しかしながら、本書は今まで文字だけであった神様を具現化するという荒技を成し遂げているだけでなく、神話に精通した著者が巷にあふれているイケメンや美少女の神様像を正しい知識で崩してくれているので、個人的には専門家お手製のフリーペーパーをまとめた物(失礼)を見ているかのような気さえしてくるので非常に良いと思う

ちなみに著者の平藤喜久子 氏は専門家なので、私は本書で得たイメージを取り入れつつ、自分の脳内で描いたイメージでアップデートしながら読み進めていた。

それに本書では神様だけでなくお社や様々な解説、うんちくが非常に凝縮されているので、ほんの一部の神様のことしか描かれてはいないけど、知識が深まる。

【目次】

はじめに

序章:すぐにわかる神様の系譜

1章:日本を形づくった古事記の神様

2章:ダークヒーローと異形の神様

3章:物から仏まで、森羅万象の神様

4章:ありがたい神様のスゴいご利益

掲載社寺データリスト

おわりに

参考文献

【著者】平藤喜久子 (ひらふじ・きくこ)

1972年山形県生まれ。

國學院大學開発推進機構日本文化研究所教授。

博士(日本語日本文学)。

専門は神話学。主な著書に『日本の神様と楽しく生きる』(東邦出版)、『神社ってどんなところ?』(筑摩書房)、『神のかたち図鑑』(白水社・共編著)、『神の文化史事典』(白水社・共編著)、『よくわかる宗教学』(ミネルヴァ書房・共編著)などがある。

この本と出会った経緯

書店でいろんな関連本を立ち読みしていた時に、うんちくと絵がヤバイくらい細かく描かれていた本書を目の当たりにし、買って帰りたい欲求に駆られたという感じです。

ただ、絵の雰囲気が自分の好みでは無かったのでしばらく悩んだけど、著者の経歴が専門家だということと、その専門家の知識がふんだんに盛り込まれたこの上ない貴重な資料という結論に達したので購入した訳です。

衝撃

(P.24~25)天地開闢で登場する別天神(ことあまつかみ)の絵が衝撃的でした。

「まあね、分かるけどね、、でもマジか!」って思いながらうんちくを読んでいた。

それから、(p.58~59)神功皇后や、(p.60~61)応神天皇の知識が個人的にはあまり無かったので、補完されて良かったと思うし、(p.88~89)金霊・金玉(共にかねだま)の存在を知ることが出来て良かったと思う。

各神様に関するあらゆるジャンルの情報が、見開き2ページにこれでもかと言わんばかりに凝縮されて掲載してあるので、図解や系図なども併記しながら細かい文字がぎっしりと書き込まれているのだが、視力が悪い人はルーペが必要になるかもしれない。

例えば、昨今は御朱印ブームなので寺社に足しげく通う人も多いこととは思うけど、行った先でその寺社に誰が祀られているのかとか、建物に関する歴史的なことや、使用されているモノに関することや時代背景などに興味を持って参拝している人はまだまだ少ない様に思う。

そういうことが著者目線で書かれている本書は、言い換えれば著者の脳内データベースにアクセス出来ているかの様な錯覚を覚えるかもしれないし、その点ではかなりお得と言えよう。

神様にも個性があるのだな、ということが大変よく分かるので、本書をきっかけにして八百万の神々を生涯かけて紐解いていきたくなる良書だと思う。